インドの養鶏事情
日本とは違って豚肉や牛肉を購入できるお店が限られており、気軽に手に入るお肉が鶏肉ということで、週5日程度は鶏肉を食べる生活をしています。その中で毎日感じるのは鶏肉の新鮮さです。部位にもよりますが、特にもも肉はきれいなピンク色で、黄ばんだものなど見たことがないくらいのクオリティです。
インドの人口の約80％はヒンドゥー教ですが、同じヒンドゥー教徒でも、お肉も野菜も食べるノンベジ、野菜のみを食べるベジと存在し、ベジの中でも卵を食べる人、食べない人、根菜類を食べる人食べない人、ベジでもチキンを食べる人（ある一定条件の元で）など多種多様です。定義は人それぞれですが、約39％の人が自分はベジタリアンであると回答しているそうです。
インド国内の鶏肉の消費量は年々右肩上がりで、2013年の2872トンから、2021年には4107トンにまで増加しています。卵の生産量についても同じく急成長しており、一人当たりの卵の消費量も年々増加しています。
鶏肉
インドでノンベジの料理というと、基本的には鶏肉かマトンで、より人気のあるお肉は鶏肉です。流通量、価格、マトンと比較するとクセのない味であることなどを考慮すると納得です。
インド国内の鶏肉の消費量は年々右肩上がりで、2013年の2872トンから、2021年には4107トンにまで増加してしています。
各お肉の生産量は下のグラフの通りです。牛肉も生産量の上位にあり、世界的に見ても5本指に入るほどの生産国ですが、国内消費は限定的なため、輸出量が多くなっています。
鶏肉の生産量が多い州トップ5は、①ハリヤナ州、②ウェストベンガル州、③ウッタルプラデシュ州、④タミルナドゥ州、⑤マハラシュトラ州です。お肉全体で見ると、①ウッタルプラデシュ州、②ウェストベンガル州、③アンドラプラデシュ州、④ハリヤナ州、⑤タミルナドゥ州となります。
私はハリヤナ州在住ですが、鶏肉の生産量1位の州だったようです。いつ買っても新鮮なお肉を買うことができるのは、鮮度を保ったまま精肉店に並び、かなり新鮮な間に購入できているのでしょう。インドは物流システムや冷凍設備が日本のように整備されておらず、電力システムも脆弱なため、輸送に時間がかかればかかるほど鮮度は落ちていきます。
また、お肉（鶏肉の他、バッファローやマトン等も含む）とその関連商品の輸出額は50億円を超え、バッファロー肉がその96％を占めています。したがって鶏肉はほぼ国内消費、牛肉はほぼ国外消費ということになります。主な輸出先はベトナム、マレーシア、エジプト、タイ、サウジアラビアです。日本ではインド産のお肉は見かけないですね。
卵
2019年のインドにおける卵の生産量は1050億個（世界第4位）で、日本は440億個（世界第8位）となっています。2000年時点での生産量は300億個だったのが、3.5倍程度にまで急成長している市場です。
国内で見ると、卵の生産量が多い州トップ5は、①アンドラプラデシュ州、②タミルナドゥ州、③マハラシュトラ州、④パンジャブ州、⑤ケララ州です。
インドでは卵の黄身の色は薄い黄色のものが多いです。日本人はオレンジ色の黄身に慣れているため、黄色だとあまりおいしくなさそうに感じてしまいますが、色が濃いからと言って栄養価が高いわけではないのです。日本では色を濃くするためにパプリカ等を混ぜて飼料として与えており、一方インドはとうもろこし等を与えている農家が多いようです。
殻の硬さについては、私の経験では安い卵は殻が薄め（少しぶつけるだけで割れてしまうレベル）、比較的高めの卵は日本と同じくらいしっかりしているイメージです。個人的には硬い方が割れにくさを考えると安心ですが、栄養価に大きな違いはないようです。与えている飼料に含まれるカルシウムや、鶏の年齢（若いとしっかり硬め、歳をとってくると薄めになる傾向）に影響を受けるそうです。
まとめ
鶏肉、卵ともにインドでは急成長中。ベジタリアンにとって卵は重要なたんぱく源でもあり、人口の多いインドでは巨大な市場となります。
しかしながら2021年は人口の上位1％が総国民所得の5分の1以上を占め、成人人口の平均所得は204,200ルピー（約320,000円）、下位50パーセントは53,610ルピー（約86,000円）という超平等な国です。卵は1玉約10ルピー程度、鶏肉は1㎏約450ルピー程度ですので、ほぼ日本と同じくらいの価格帯、低所得者にとっては気軽に買える金額ではないのです。
この賃金格差の解消や、私の知り合いのインド人の中には、親はベジタリアンでも本人はお肉を食べるという若い人も見かけるので、若者の価値観が変わってくるにつれてこの市場はさらに大きくなっていくでしょう。
